RESEARCH

CO2回収を目的とした酸素燃焼エンジンの研究


 CO2回収を目的とした酸素燃焼エンジンに関する研究を行っています. この研究では,水素製造時の副生成物である酸素を用いてエンジンを駆動させることで, CO2と水しか排出しない動力システムを確立することを目的としています. 本研究では,小さな副室から吹き出す火炎ジェットを用いて広範囲に点火することで, 燃焼を素早く行うことができ,熱効率が改善することを実験的に明らかにしました.

ディーゼルエンジンにおけるメタノール燃焼法に関する研究


 水素の利用方法として,メタノール燃料を合成して利用する方法があります. 本研究では,ディーゼルエンジンに適したメタノール燃焼法に関する研究を行っています. メタノールをバイオディーゼルなどと混合して,直接噴射方式で利用することの優位性を明らかにしました.

ディーゼル噴霧火炎における壁面熱損失に関する研究


 ディーゼルエンジンの壁面に衝突する火炎からの壁面熱損失に関する研究を行っています. ピストン表面を模擬した湾曲壁面に衝突する火炎からの熱損失と流動の関係について,実験および数値解析を用いて研究を行っています.

振動計測に基づくディーゼル噴射弁の針弁動作検査法


 不具合が生じたディーゼル燃料噴射弁の原因究明を速やかに行うことを目的として, 振動波形から針弁の動作を推定するオンボード検査法の研究を行っています.

MEMSセンサを用いた燃焼伝熱メカニズムの研究


 次世代燃焼器の開発へ向けて,火炎と壁面間で生じる伝熱メカニズムの理解が重要です. しかし,火炎-壁面間干渉は非常に高速なため,詳細な計測が難しい点が問題となります. そこで本研究では,微細加工技術の一つであるMEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)技術を用いて 高速測定が可能な薄膜センサを独自開発し,火炎が壁面と干渉する際の熱輸送メカニズムを実験的に調査しています.

乱流熱伝達が生じる壁面近傍の流動推定



 熱交換器などの熱流体機器の高性能化のためには, 対流熱伝達のメカニズム解明が重要です. そのためには,壁面での熱輸送特性とその原因となる流動特性の両方を調べる必要があります. しかし,実際の機器内部で熱輸送と流動を同時に計測することは困難であるため, 本研究では壁面計測データから流動状態を推定する技術の開発に取り組んでいます.
 その一つとして,壁面温度変動から移流速度を求める相関法の開発を行っています. 上図は,チャネル乱流において赤外線サーモグラフィで得た壁面温度から推定した移流速度を表しています.
 もう一つの手法として,機械学習による速度推定にも取り組んでいます. 下図は,チャネル乱流の数値シミュレーションで得た壁面熱流束を入力とし, 壁面から高さ1mmの速度を出力するニューラルネットワークの推定結果です(上が教師データ,下が推定結果).

流路断面の温度・速度分布を測定する抵抗線CT法の開発


 熱流体機器の性能評価やモニタリングへ向けて,流路断面の温度・速度分布を測定する技術の開発に取り組んでいます. 本研究では,直径10ミクロン以下の金属細線を温度センサとして用い, 医療分野等で利用されるCT技術と組み合わせることで, 流路断面の温度分布を再構築する技術を開発しています. さらに,上流と下流で得られた温度の位相差から速度を推定し, 温度と速度を同時に測定する技術の開発に取り組んでいます.

加熱空気噴流を用いた熱流束較正技術の開発


 熱流束測定には熱流束センサが利用されますが, 測定値の定量性を担保するためには定期的な較正が必要です. しかし,既知の熱流束を付与することは難しく, 十分な較正が行われていない場合が多いというのが実情です. そこで本研究では,加熱空気噴流を用いた熱流束較正技術の開発に取り組んでいます. 空気は固体に対して熱浸透率が十分小さいため, 異なる材料の熱流束センサに対しても同一の熱流束を付与することが期待できます. さらに,MEMS技術を用いて自己較正機能を持つ標準熱流束センサを開発し, 加熱空気噴流による熱流束付与装置と組み合わせることで, 簡便に熱流束較正を実施できるシステムを構築しています.