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4足歩行の歩容と固有振動モードの関係
研究の概要:
本研究では、4足歩行動物の高効率な歩行メカニズムを、固有振動の視点から解明することを目的としています。4足歩行動物には、歩行速度に応じて最も消費エネルギー量が少なくなるよう、歩容(脚の動かし方)を切り替える性質があります。これは、機械振動系をある周波数で加振すると、加振周波数付近に固有振動数をもつ固有振動モードが支配的な運動となって現れる現象に類似しています。
そこで本研究では、4足歩行動物を単純な構造で模擬した剛体リンクモデルを用いて、歩容と筋骨格系の固有振動モードの関係を検討しました。はじめに4足歩行動物を胴体と脚4本で表した最も単純なモデル、次に肩と腰の自由度を追加したモデル、最後に、脚部の関節を追加し、実際の馬の身体パラメータを考慮したモデルを用いて、各部位が筋骨格系の固有振動に与える影響を検討しました。
4足歩行動物の代表的な歩容
歩行速度の変化とともに、様々な歩容を使い分ける
歩容と筋骨格系の固有振動モードの関係
各歩容には最もエネルギー効率のよい速度が存在する [出典:生物と運動 バイオメカニックスの探求(1992)]
●グラフの形を見ると、機械振動系における固有振動のグラフと類似している
●また歩行速度が増加すると、歩行周波数もそれにつれて高くなる
→上のグラフは歩行周波数と消費エネルギー量の関係とみてもよい
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歩容とはその歩行周波数付近で励起されやすい筋骨格系の固有振動と考えた
4足歩行動物の代表的な歩容
4足歩行動物を単純化した剛体リンクの固有振動と実際の動物の歩容を比較
⇒歩容と筋骨格系の固有振動の間に関係があるか検討する
1. 胴体と脚部の影響
まず胴体と脚4本から成る、最も単純な構造で考えた
トロット 1.00Hz ギャロップ 1.00Hz ペース 1.17Hz
●歩容に類似した固有振動モードは存在
●ただし,モデルの固有振動数は,遊脚単体の固有振動数である1Hz付近に集中
⇔実際の動物の歩行周波数の順番と異なった
2. 肩と腰の影響
実際の動物の歩行を観察した結果、トロットとギャロップで肩と腰の運動に違いがみられた
[動画はJRA競争馬総合研究所にご提供いただいた]
トロットでは肩や腰がほとんど動かない ギャロップでは大きく回転運動している
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これらの部位が筋骨格系の固有振動に与える影響を検討するために,タイプTの肩と腰に自由度を与えた(タイプU)
トロット 0.51Hz ペース 0.66Hz ギャロップ 1.95Hz
●実際の動物と同様、トロット、ペース、ギャロップの順に固有振動数が高くなるように存在した
3.実際の馬と比較
タイプUのモデルに馬の身体パラメータを与え、その固有振動と実際の馬の歩容を比較する。
モデルをより実際の馬に近づけるため、脚部の運動をより詳細に観察した結果、トロットとギャロップにおいて各部位の
位相差が異なることがわかった
トロットでは中手骨以下を逆相で振り出している ギャロップでは全ての部位が逆相となる
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タイプUのモデルの脚部に関節を付加し馬の身体パラメータを与えた(タイプV)
モデルの固有モードも固有振動数も,実際の馬と近い値になった
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